ヨーロッパ自転車一人旅のコツ:プランニング編

2018年6月にイギリス・フランス・オランダを一人自転車で旅行してきました。

自転車旅行で計画したルート

初めて一人自転車旅行を計画するにあたり、ネットで情報収集を試みましたが、海外自転車旅行に関する情報はそもそも情報が少ない上、スマホ全盛ではない頃のものしかなく、かつ「行ってきました」系の情報はあるものの「準備はどうしたらいいか」系の情報は皆無でしたので、事前準備は手探りでした。

この経験を私だけに留めておくのは、ちょっともったいないのでブログ公開します。文章量が多いので「プランニング編」「準備編」「道中編」の三部に分けて記載します。

なお、本情報は2週間程度のヨーロッパ自転車旅行を想定したものになります。1ヶ月以上の長旅の場合は時間的な余裕があり、大きく予定を変えられるだけの柔軟な対応も可能なこと、他地域では前提条件が異なります。ただし、参考にできるところは多いと思います。

プランニング順序の指針

たとえ海外旅行に慣れていても、初めて海外自転車旅行のプランニングをしようとするとどこから手をつけてよいかわからなくなります。プランニングの指針がない場合、以下の項目を順番に決めると決めやすいです。

  1. 行きたい場所とおおざっぱなルート
  2. 飛行機でのIN/OUTの都市
  3. 行く時期
  4. 航空会社・鉄道
  5. 宿泊先

1.行きたい場所と大雑把なルート

まずは走破したい国とその国の地域を決めます。その地域から主要ルートを探し、

  • 治安や道路事情などの安全性
  • 街の出現頻度
  • ルートの高低差
  • 天気の傾向
  • Warmshowersを利用するならばHostの多くいる地域

をピックアップし候補とします。ルートと走行距離のたたき台にはGoogleMapを使用し、移動手段に「自転車」を選ぶことで確認できます。道路の様子はGoogleストリートビューでイメージを掴みます。街中は道路に何かあってもある程度迂回路がありますが、街と街を結ぶ道路はダートな場合もありますので、特に山間・林間の道路の様子を確認しておくと良いです。最終的には実際にナビとして使うOmsAmdというスマホアプリで示されるルートを確認するのが良いです。

ルートを概ね確認したら、走行不能時にリカバリが可能かどうかについて確認します。確認のポイントは、

  • 移動中通過する街にホテルやユースホステルなどの宿泊施設
  • 自転車のメンテと部品の購入が可能な店の有無
  • スーパーなどの食料品店

ルート上に鉄道やバス路線など公共交通機関があればなおよしですね。リカバリ方法がなさそうな場所はヒッチハイクで乗り切ることで腹をくくります。

連日ライドの場合の1日の移動距離は、体力の温存やトラブル時の対処の時間的マージンを考えると最長でも100kmくらい、概ね80kmが妥当です。宿泊ポイントはこれをベースに決めれば良いです。

海外自転車旅行では自転車や荷物の盗難を避けるため、食事やトイレなどのちょっとした行動にも自転車のロック等に時間を割かれます。また、自転車旅行では道中に必要な最小でも10Kg程度の荷物を抱えているため、ちょっとした坂道もかなりのパワーを使います。場合によっては、体力の過度な消耗を防ぐために歩いた方がいいこともあります。工事などによるルート回避などその場にいないとわからない道路事情も多いです。このような不測の事態も考慮し、走行距離は欲張らないことが重要です。

想定外の遅れが積み重なると到着時間が徐々に遅くなり、焦りがつのってきます。焦りは安全運転には禁物ですので、日本感覚でのロングライドは厳禁です。

2.飛行機でのIN/OUTの都市

決めたルートに向かうための飛行機のIN/OUTの都市を決めます。特に強い理由が無い限りは同一の都市かつ自転車梱包資材を預けられるところを選ぶべきです。というのも、海外は日本と違って自転車を分解せずにそのまま鉄道で移動できるところがありますので、移動中の荷物が多くても出発地に戻るための制限は少ないです。例えばパリからロンドンまでの工程であれば、ロンドン到着後にユーロスターでパリに戻れば2時間です。梱包材の調達の手間を考えると圧倒的にこちらの方が楽です。

また、飛行機で自転車を運ぶときに、どうしても問題になるのが自転車の梱包と梱包時の運搬になります。実際に海外で一から梱包をやるとなると、段ボールの入手・製作・補強・資材購入・緩衝材作製等、相当な時間・手間とテクニックを要し丸一日は見ておかないと怖いです。それでいて梱包が確実に終わることや強度が十分である確実性も無いので、自転車を無事に持ち帰れるかも終わってみるまでまで分かりません。

また、日本・海外ともに空港から移動時には丈夫なキャリアもあった方がよいです。キャリアは段ボールのように軽く廃棄・入手するような物ではありませんので、サイクリング中はどこかに保管しておかねばなりません。期間が2週間程度なら時間的コストを考えて梱包資材は多少ルートから遠くても預けておいたほうが旅行中の精神衛生の面でよいです。

3.時期

行く時期は季節・気温・休みを取れる時期と期間等々で決めます。

自転車に適した時期は最低気温が15度位、最高気温が最大で30度くらいが良いと思います。暑過ぎは熱中症・脱水症状の危険があり、寒すぎは荷物の増加につながる他、トラブル時は運動していないため寒さに耐えられず、事態悪化ループに陥る可能性があるためです。

当然ながら雨の降りやすい時期は事故の危険が大きいので避けるべきですね。サイクリング中には雨に振られなかったとしても雨の降ったあとに未舗装道路に入ったりすると、ブレーキが効かなくなったりして危険で、掃除等に時間を取られ計画した工程がうまく踏破できなくなる可能性があります。

4.航空会社・鉄道

自転車の運搬に関して、預託手荷物条件が航空会社によって様々です。追加料金を必要とするところ、そもそも預け入れ不可、重量制限超過による追加など、運搬に関する条件が航空会社によって様々です。

ロードバイクなど、長距離移動を目的とした自転車はそもそも重量がないため、梱包後の重量は、梱包資材や洋服など移動中に必要なものを含めても、概ね航空会社の通常最大許容重量である23kg以内に収まると思います。中東系のカタール航空・エディハド航空は最大重量が30kgなので、帰りにお土産を買って箱の中に積んでいけるだけの余裕があります。

なお、自転車の扱いは重量とは別になっている航空会社もありました。例えばエールフランスは1万円の預託料を別に支払う必要があったりします。この条件は年単位で見ると改訂が結構あるようなので、こちらも確認しておく必要があります。私の場合はカタール航空を使いました。自転車の扱いについてはHPにも書いてありましたので特に心配はありませんでしたが、念のためカタール航空に直接電話をして確認もしました。

航空券は通常は3ヶ月前までに格安航空券サイトで買えばよいです。2ヶ月を切ると値上がりします。なお、格安航空券比較サイトで値段を調べる場合、サイト上に表示された値段が購入の際の値段となっているとは限りません。実際に予約手続きをするとさらに安くなっていることも多々あります。料金の確認は購入サイトで直接値段を確認することが肝要です。

なお、航空会社ではキャンペーンを張っていることもあり、たとえ出発1ヶ月前でも安く買えることもあります。調査した限りでは格安航空券サイトの値段とそれほど違いはないようですので、そちらを確認するのも安く購入する一つのてです。

現地での空港・宿泊先間の移動は通常の旅行とは違って荷物が大きくて重く、小回りも利かないため、タクシーやホテル手配等の直通の交通手段をお勧めします。日本国内での移動は宅配便を使えば手ぶらでいけます。

鉄道は海外の場合は早めに予約することで割引があることが多いので、移動計画が決まったら早めに予約を入れます。

5.宿泊先

最低限到着日と出発日の宿泊先は必ず確保しておきます。梱包用資材を預けられるところ、もしくはその近辺がベストです。入国と出国の都市が一緒の場合は少々高くても同一の梱包資材を預けられるところがよいです。高い分は確実に自転車を持って帰れる保険と考えれば安いものです。

自転車旅行の移動中の日程は、早くても2日前にならないと宿泊先を決められませんので、事前予約は基本的に無理です。ですので、準備の時点ではどの街で宿泊するかのみを決めます。

宿泊地はルート区間の道路の起伏具合から移動可能距離を概算し、道中にホテル・ユースホステルなどの宿泊先があるかを確認します。ルート上に20~30km毎に宿泊可能な場所や、鉄道駅があるなら問題はありません。季節によりますが、出発は朝9時、到着は5時を目安にして、観光で立ち寄るところや休憩・道路状況を確認し、移動距離を概算すれば到達可能な街は目安がつきます。

宿泊先の選定は、予算にもよりますが、自炊が可能という点でユースホステルが一番おすすめです。自転車に乗ると非常にお腹が空きます。外で食べるのも良いですが、自転車旅行の場合は観光一辺倒でないことと、費用と栄養面を考えるとスーパーで食材を買い、自炊をするのが一番満足感が高いです。宿泊先の有無についてはBooking.com等のホテル予約サイトで調べれば、宿泊費などを含めて概算できます。

私は上述のようにプランしましたが、最終的にはたまたまWebで見つけたCICERONEのサイクリングガイドブック「Cycling :London to Paris」を購入し、安全を考えてそれに従うことにしました。結果としてはほぼこれに沿うルートで、不安も問題もなく6日で走破できました。自転車一人旅は一度経験するとコツが掴めるので、このようなガイドブックは不要になりますが、初めてのプランニングする場合、不安を払拭するには良い書籍だと思います。

プランニングについては以上になります。次は準備編です。

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