地域貢献のために地元のミニバスチームの写真撮影をしています。バスケットボール以外にも様々なスポーツ写真の撮影経験がありますが、ミニバスの写真撮影は、以下の点で難易度は最上級レベルです。
- 主に小学校の体育館内でカーテンを閉めて試合をするため、高速シャッターで撮影するには光量が極端に少ない
- 選手は常に動いているため、被写体を追うのが難しい
- 選手の移動と交錯が激しいため、ピントが外れることが多々ある
- 窓や扉など、外光により明るさが変動する
Nikon D850やCanon EOS 1級ののプロ用カメラと大口径レンズを揃えられれば練習を積むだけで写真を撮影することができますが、このような高級機材を揃えられる方は少ないと思います。
とはいえ、小学生といえどもバスケの写真は迫力のある画が撮れますので、こども達の記録としてもぜひ撮って残したくなります。
そこで、本記事ではミニバスの試合で最低限必要かつ最小限となる機材と設定、および撮影のコツについて書いていきます。
撮影機材
ミニバスの撮影機材として揃えておきたいカメラとレンズの性能は以下の通りです。
- ズームレンズ(35m換算80-200mm、できれば300mm)
- マニュアルモードサポート(ホワイトバランス、シャッター速度、開放値、ISO固定)
- 撮影枚数1000枚以上保存できるメモリーカード
- 連写速度1秒あたり5枚かそれ以上(10枚が望ましい)
- 大口径レンズがない場合はISO25600をサポートするカメラ
ゴール下であれば80mm程度の焦点距離で写せます。ただし、相手ゴール下でのディフェンスや攻め上がる様子を写すのであればズームレンズは必須で、相手ゴール下まで写す場合は300mm、センターラインからの攻めの様子を写す場合でも150mmは欲しいところです。ゴール下の攻防のみを写すことにのみ焦点を置くようにすれば、70mm程度の大口径単焦点レンズで迫力ある撮影も可能です。
シャッター速度は多少の被写体ブレを覚悟して写すにしても最低1/300s、どのような場合にも安定した撮影を求めるのであれば1/500sのシャッター速度が必須になります。また、シャッター速度のみ固定で撮影すると、レンズ開放値・ISOが変化するようになりますが、背景に窓や扉からの外光が入ると選手が暗く写ってしまうため、レンズ開放値とISOも固定できる必要があります。
高速シャッターで撮影する場合、体育館のような暗い場所ではF2.8かそれ以上の明るさのレンズは必須です。ただし、F2.8で300mmをサポートするレンズとなるとかなり高額になるため、写真に凝る方でない限りなかなか購入するまでにはいかないと思います。
セットレンズとして300mm/F5.6程度の廉価版ズームレンズをお持ちの方は多いと思います。大口径望遠レンズを揃えられない場合は、画像荒れと被写体ブレに目を瞑り、ISO25600写すことで撮影できます。EOS 80Dレベルの中型機であれば拡張設定でISO25600はサポートしているものが多いですし、ここ数年の中型機の画質であれば、素人目には十分な画質で撮影できると思います。
連写速度は、秒間10枚程度の連写速度があると決定的瞬間を逃すことは少ないです。連写速度が秒5枚程度ですと、ボールが顔に被った写真の次の写真はすでにボールがフレーム外に出ていることがしょっちゅうあるため、せめて秒8枚程度の性能は欲しいところです。
撮影枚数は連写性能によりますが、一試合でおおよそ500枚を目安にしてメモリカードを用意するといいでしょう。
カメラのセンサーサイズについて、フルサイズの一眼レフカメラは総じて画質がよく、高感度でもノイズの少ない写真が撮れますが、これに連写速度を求めると本体とレンズの値段が跳ね上がりますので、よほどの写真好きでないとなかなか手がでません。
私はOM-D E-M1で撮影していますが、カメラ本体価格がそれほど高くない割に、秒間10枚撮影でき、高感度での画質も及第点です。E-M1の難点は、EVFが撮影直後に一瞬ブラックアウトするため、撮影後にボールを追いにくいことです。ただし、最近のカメラであればこの問題は解決されているものが多いですし、慣れれば勘でカバーできます。
Panasonicの4Kフォトもスポーツ写真撮影には便利ですが、静止画撮影の場合と比較して解像度が落ちるため、切り取りによる画像劣化が著しくなります。シャッターチャンスを逃すと元も子もないので4Kフォトは有用ですが、撮影に慣れているのであれば写真のほうがオススメです。4Kフォトを使用したことがないのでわかりませんが、撮影後に画像を選択する作業を必要とする場合はバスケの写真撮影には向きませんので、この点は気をつけたほうがよいです。
撮影準備
写真を取るときはコート四隅で地べたに座って撮影するのがベストです。この位置は攻めの時に顔が後ろに向くことがなく、ボールが体より前にあることが多いため、とりあえず写した写真でもそれなりに画になります。
ゴール下は選手やボールが飛び込んで来ることがあり、ゴール下からの距離も取れず選手にとっても危険ですので、やはり距離の取れるコート四隅がベストです。
後半は相手応援席側で撮影することになりますので、相手チームの応援の邪魔にならないように気を配ることを忘れないようにしましょう。観客で埋まっているなどで、場所の確保が迷惑になりそうな時は素直に諦め、後半は中央の保護者席で撮影するようにしましょう。ただ、応援席には他チームの観戦もあるため、相手チーム側での撮影も大丈夫でした。
フラッシュ・LEDなど撮影中に光るものはすべて厳禁です。フラッシュは必ずOFFに設定し、赤目軽減用のLEDは必ずOFFにしましょう。
撮影時のカメラ設定は概ね決まっていますので、撮影用の設定値をカメラに記憶させ、撮影時に一発で呼び出せるようにしておくと良いです。私はカメラの撮影設定を以下のように記憶させ、場所に応じて微調整するようにしています。
- ISO8000
- 開放値F4.0
- シャッター速度1/500
- ホワイトバランス「曇り」か「水中撮影」
- 画像確認時間は「なし」
- 連写は秒間10枚
- フラッシュは内蔵されていないため、設定はなし
着る服も派手なものは避け、出来るだけゲーム中の子供の意識を向けないようにするのもマナーです。
撮影時のコツ
試合開始前の練習ではホワイトバランス・絞り・ISOを環境に合わせて設定し、試写をして写りを確認します。電池の残量やメモリーカードの残量も確認しましょう。
撮影の際には以下の点に注意をして撮影するといい画が残せます。ピントずれなどの失敗写真も量産しますが、シャッターチャンスはたくさんありますので、ガシガシ取りましょう。
- Tip offの写真は必ず取りましょう
- 保護者などへの挨拶のシーンも取っておきましょう
- 撮影の際にはボールをフレーム内に必ず入れるようにすると動きがある写真になります
- ベンチに座っている子供たちの写真も取りましょう
- ボールをあまり持つことのない子供も1〜2枚は撮影することを心がけましょう
- シュート後もしっかりとファインダーを見つめ、リバウンドの瞬間を取りましょう。シュートシーンは反射的にカメラを離してしまうため、意外と難しいです
- ドリブル・ジャンプシュート・リバウンドは絶好のシャッターチャンスです
- 引いて取ると被写体が追いやすく失敗が少ないですが、迫力に欠けます。これは写真をトリミングすることでカバーできます
- 寄ると迫力がでるのでついついズームで撮りたくなりますが、ピンボケの量産や選手がフレーム枠から外れやすくなり、ボールも追いにくいです。少し引いて撮るといい写真が残しやすいです
なお、相手陣地で撮影している時は自チームへの応援は控えることを心がけましょう。
初めのうちはシャッターボタンを押すタイミングと連写時間がわからず、無駄な撮影が多くなりがちですが、何度も写しているうちにタイミングがわかってくると思います。
写真の選別
試合中に写した大量の写真を選別する際には以下の手順で行うといいです。
- ピンボケ写真と被写体が写ってない写真を削除
- 連続写真はもっともいいものを一枚選別
- 変な表情やおかしな格好で写っているものは削除
- あまりボールを持たない子は出来るだけ残す
- 残ったものを見返して同じような写真は削除
これで大体一試合あたり60枚〜80枚程度になります。ソフトは自分の使いやすいものを利用すればよく、Exploer/Finderでも十分です。私は選別にはMac OSのFinderのGallary表示を使用しています。
写真の配布
LINEアルバムが配布・閲覧共に効率がいいです。LINEアルバムでの共有はサイズが縮小されて画質が落ちますが、昨今はスマホで見る方がほとんどですのでこれはあまり問題にはならず、むしろサイズが縮小されることでファイルサイズも小さくなり、あまりPC・スマホに詳しくない人でも写真を管理しやすい利点もあります。原版が欲しい方がいる場合は、別途メモリーカードやDropboxなりで渡せば良いです。
本Tipsミニバスに限らず、体育館でのスポーツ撮影でも使えるTipsがあると思います。
参考になれば幸いです。