耳栓用途でWH-1000XM3を使う

WH1000-XM3を購入しました。

かなり前から「静かな環境が欲しい」と思い続け、行き着いたのがWH1000-XM3です。ここでは耳栓利用視点での紹介になります。

装着時のノイズの消音性能は耳栓として十分で、隣の部屋の普通の会話がかなり遠いところで話しているレベルまで消音されます。電車でも使用してみましたが、静かな図書館にいるようなレベルまでノイズが減ります。

それでも無音レベルまでは消音されません。食器のぶつかる高い音や女性の高い声は気になるレベルで聞こえてくることがあります。このようなときは、White Noiseなどのスマホアプリから環境音を流して音をかき混ぜてしまうことで気にならなくなります。ヘッドフォンとしての音質も上々ですので、高音質な環境音はリアリティある音で聞こえるので没入感も抜群です。

WH1000-XM3はイヤーカップをダブルタップすることで再生・停止をコントロールすることができます。多くの音楽再生アプリはコントロール可能なようですが、環境音アプリの場合はコントロールできるとは限らないようですので、再生・停止が可能なものがオススメです。私はWhite Noise Pro を使用しています。

ヘッドホンを耳栓として利用しようとすると、持ち運びや装着の時にかなりかさばるため購入には躊躇しますが、WH1000-XM3はイヤーカップを手で覆うことで周りの音が聞こえるようになるので、いちいちヘッドホンを外す必要がありません。仕事であれ家であれ、人とちょっと話す時は結構ありますので、耳栓用途としてはこれはかなり便利です。

電池の持ちは公称30時間で、2日間で18時間使用しても30%の電池残量があることから、耳栓利用としては十分な電池持ちです。

電源ONのときに電源ボタンを押すと音声でバッテリー残量がわかるほか、スマートホンの通知エリアにも残量が表示されるので、気がついたら電池切れということはありません。10分程度の充電でも5時間は利用でき、30分も行えば丸一日は十分もちます。

この手のモバイルデバイスは電源の消し忘れによる電池の消耗でいざという時に使えないことがままありますが、これだけ電池がもち回復も早いとバッテリー切れを心配する必要が無いので、精神衛生上安心です。 充電用のUSB端子もUSB-Cなので、スマホ充電セットを使いまわせる点でいいです。なお、充電中にヘッドフォンは使えませんので注意が必要です。

充電用のUSB端子がUSB-Cなので、スマホ充電セットを使いまわせる点でいいです。なお、充電中にヘッドフォンは使えませんので注意が必要です。

ノイスキャンセリング機器にはイヤホン型もあり、見た目もイヤホン型の方がスマートですので、耳栓用途での購入となるとこちらに目が行きます。しかし、イヤホン型は電池の持続時間が短いものが多いことと、耳への違和感があることから、私はあまり好みではありませんでした。

ノイズキャンセリングが効果を発揮するのは飛行機ですが、飛行機の国際線に乗る場合、電池持続時間は20時間は欲しいところなのと、有線で座席テレビに繋げて視聴したいので、ほとんどのイヤホン型は選択肢から自動的に除外されます。

やはり、耳栓利用であれば装着に違和感を覚えず、耳を覆う形で持続時間の長いヘッドホン型の方がオススメです。本製品は装着時の違和感もかなり少ないので、ヘッドホン慣れしていない私が一日中つけていても特に問題はありませんでした。

ヘッドホンの持ち運びについては、専用のセミハードケースがあるので、カバンの容量が許す限りはこれを使えばよいです。

cof

つけ外しを頻繁にする場合は首にかけておけば良いです。イヤーカップがz軸方向に回転するので、首回りに置くような形でかけることができ、そのまま自転車に乗ることもできますので、常に肩にかけていても意外と邪魔にはなりません。

Bluetoothマルチポイント接続にも対応していますが、電話の着信音はHFP、LINE等の着信音はA2DPで出力されるので、LINEなどのMessengerアプリをメインで音声通話に使用している場合は、この機能はあまり意味はなさないと思います。

マルチペアリングは最大で8つまで接続を記憶しますが、接続優先順位はなく接続可能なものから順番につなぎに行ってしまうようです。ですので、一つのスマホに接続して利用するというスタイルが一番シンプルかつ最大の効果を発揮できる方法です。

総合的な結果として購入後の評価は上の上です。4万円以上と値は張るものの、それに見合うだけの耳栓効果がありました。

日常のノイズに悩まされている方にはかなりオススメですね。

Warmshowers体験記

2018年6月にヨーロッパ自転車旅行に行った際に9回Warmshowersを利用し、いずれの宿泊先でも大変有意義な時間を過ごすことができました。日本人の利用者について聞いたところ、日本人はおろかアジア系ですらほとんど利用者がいないようですので、利用方法についてしシェアします。

Warmshowersとは

WarmShowersは自転車で旅行するサポートするための完全ボランティアなコミュニティで、自転車で旅行中の旅人に対し、宿泊場所や食事の提供などをしてくれます。ボランティアなので利用料をとるようなことはしません。

AirBnbのようにも見えますが、自転車旅行者に特化していることと、料金をとらないことが大きな違いです。

ユーザーアカウント登録

まず、Warmshowersのサイトにアクセスします。Warmshowersの利用にはアカウント登録(無料)が必要です。アクセスするとデフォルトで日本語表示に設定されます。ただし、日本語版は情報が少ないことと、共通で使う用語を知るためにも、表示言語は英語に変えた方がよいです。

ユーザーアカウント登録時に自分自身の情報を登録します。これはWarmshowersを利用して連絡をした際に、ホストが私の氏素性を確認するために参照されると思います。先方にホストを引き受けていただけるようにするためにも、自分の情報は詳しく書くことが重要だと思います。顔写真はホストの警戒心を和らげる効果があると思いますので、貼っておいた方がよいです。

サインアップ時のユーザー情報入力欄

Warmshowersを利用しているとわかりますが、上記「About you」に趣味趣向、住まい、過去の経験、どのような方を歓迎するなどの人物を想像できる情報が書かれている方が安心感があります。ただし、あくまでもSNSの一種ですので、個人を細かく特定できる情報は書くのは避けた方がいいと思います。

私の場合は、ホストが受け入れを判断しやすくなるように下記情報を記載しています。

  • 現在の住所(東京から20kmくらいなど外国人が大体の位置を把握できるレベル)
  • これまでの自転車旅行経験(外国旅行の有無や自転車でよく行くところなど)
  • 宗教・食べ物の趣向・喫煙有無(アレルギーがある場合は必ず書きましょう)
  • 職業(会社名ではなく仕事内容)
  • 趣味

ホストの探し方

ホストを探すにはサイト内のホストサーチ機能を利用します。テキストサーチも可能ですが、GoogleMap上にMarkerが表示されていますので、それをクリックするとホストの詳細な情報が表示されます。スマホで利用する場合は、一旦デスクトップモードで表示した方が閲覧しやすいです。

ホストサーチ画面
ホスト情報

ホストを決めるにあたり重要な部分は、Lodging(ベッドなのかソファなのか)/Food(夕食・朝食があるか)/Language spoken(話せる言語はなにか)です。Storage(自転車保管場所の有無)も情報として記載されていますので、こちらも自転車の盗難を避ける意味で重要な情報になります。記載がない場合でも格納先があることが多いので、連絡する際に合わせて確認しましょう。

FeedBackはきちんと対応してくれた過去を証明してくれますので、ホストが多くいる都市部では最近のFeedbackの有無も確認するとよいです。最後にWarmshowersにアクセスした日とメールに対する返信率の記載もありますので、候補が多い場合は、最近アクセスがあり返信率の高い方を選ぶと良いと思います。

Feedback

ホストとの連絡

ホストと連絡をとる際にはWarmshowersのメール機能を利用します。

Warmshowersサイト内のメール送受信フォーム

メールの内容はテンプレートとして以下の情報を記載しています。

  • 今どこにいて、どこからどこを目指しているか
  • いつお世話になりたいか
  • WhatsUp/SMSでの連絡先

返信までの期間はホストによりますが概ね1~2日くらいでした。返信がない方もいらっしゃいますので、2~3件に依頼をするほうがいいと思います。

連絡がきたら、何時頃到着するかなど、ホストが迎え入れるため必要な詳細な情報を渡しましょう。返信はメールだったり、WhatsUpだったりと様々ですので、リアルタイムに受信を確認できるようにして即返信を心がけるようにして、連絡をくれたホストへ最大限の配慮をしましょう。

ホスト宅での過ごし方

到着したら…

WarmShowersのホストは自転車旅行経験があったり、ホスト経験があるので、到着直後に洗濯とシャワーが必須なことは十分承知しています。ですので、遠慮なくシャワーと洗濯については到着直後に確認しましょう。

また、WiFiの必要性も十分に認識されていますので到着後に確認しましょう。通信速度は日本のようには高速ではない場合が多いので、旅行中にとった写真のバックアップやデータのダウンロードが必要な場合は充電と同時に行います。

なお、ホスト宅はホテルではなく、彼らの生活の中に入れてもらっている形で一緒に生活している、という意識で利用することが肝要です。例えば彼らが何かの仕事中であったりするならば、それを邪魔しないようにする配慮をしましょう。

次の日の出発予定時刻と向かう先のルートも伝えましょう。ホストは次の日も仕事だったりしますので、ホストの方々の生活に合わせて就寝・起床時間を合わせ、次の日のための準備をします。

ホスト宅の一例。この日はこの部屋を一泊使わせていただきました

食事と会話

長距離自転車移動のあとは大変にお腹が減ることもホストは承知しています。食事を振舞ってくれる場合は、次の日のためにも遠慮なくいただきましょう。私の場合は運動後ということもありますが、どの料理も大変おいしかったです。量もこれでもかというくらい出していただいたので、昼ごはんは少量で済ませることができました。

ごちそうになった夕食。美味しかったです

どのホストも日本人の好む食事についてよくわからないせいか、食事にはかなり気を使っていただくことが多かったです。ですので、振舞っていただいた食事が日本人としてどのように感じるかを伝えるとホストにとっての興味に答えられると思います。また、日本ではどのようなものを食べているかもホストにとっては興味の対象の一つで、会話をはずませるきっかけにもなると思いますので、教えてあげるとよいです。

WarmShowersホストの方は学のある方が多いようで、私がお世話になった方も博士課程だったり、教師だったり、研究者だったりという方が多かったです。外国への関心も高いようでしたので、会話には困らず途切れることもありませんでした。

写真についてはどこでも快く撮らせていただきました。ただ、SNSへのアップを忌諱する方もいらっしゃいますので、写真についてどう扱うかを撮影前に伝え、SNSへあげるつもりである場合は必ず許可をとりましょう。

就寝

就寝は次の日に備えてだいたい12時くらいが目安でした。ホスト宅はだいたい10時半~11時くらいに床についてましたが、私はその日の様子をFacebookにアップしたり、翌々日のホストとの連絡やルートの確認などで12時くらいまで作業をし、その後就寝というペースでした。

屋根裏部屋にベッドを準備してくれる方が多かったです

朝〜出発

私の時は興奮していたせいか、ほぼ全てのホスト宅でホストより早く起きていました。だいたい7時には起きて出発の準備をし、あとはご飯を食べるだけで出発できる状態にしていました。なお、朝食がないホストの場合は朝食を食べられるベーカリーの場所を聞きましょう。自分で探すのは時間の浪費なのと、現地の人がオススメするところは、どんなところであれ話のネタになります。

なお、ヨーロッパでは朝食はかなり簡素なのがふつうで、パンと牛乳・シリアルという感じでした。

朝ごはんの一例。このときは自家製ジャムをいただきました。現地人の日常を感じられるいい機会です

ホスト宅へのお礼について

Warmshowersは無料のボランティアコミュニティですので、お金を払うということはないです。無料である分、ホスト宅への配慮は最大限行いましょう。あらゆる不満は口に出さず、怪我・病気などホストが想定していなかった対応については、後日でもよいので金銭を払うなどのお礼は日本人としてはmustです。

何人かのホストに無料でホストをする理由を聞いたところ、特に理由はなく単に人の役に立ちたいという思いからやっている方が多いですね。あえていうならばコミュニケーションを楽しみたいということでした。

ですので、我々日本人がいく場合は日本のことをいろいろ教えてあげると喜ばれます。ヨーロッパ人は日本という国は知っていて、まるで違う文化で発展している日本に興味を持っている方が多かったです。ただ、日本との接点がないので細かいことはよくわからないらしく、話をすると大変興味深く聞いてきます。日本のことを説明する訓練をしておくと、ホスト宅でお互い楽しく過ごせホストをしてくれた方へのいいお礼にもなると思います。

また、WarmshowesサイトのホストへのFeedbackは必ずしましょう。私の場合はその日の夜に書くようにしました。自分に対するFeedbackもしてくれる場合もあり、以降のホストが自分を安心して受け入れる指標にもなります。

その他

日本人の美意識ですと、自宅に客を通す場合には失礼のないように部屋をきれいにとか、おもてなしの食事を用意するなどになりますが、ヨーロッパの人はそんな特別なことはせず、日常の生活中に入れるという雰囲気でのおもてなしになります。

故に家は日常のまま、食べ物・服装・部屋等はきわめて日常そのまま、おもてなしのための準備は相手に本当に必要な部分のみ(食事・洗濯・睡眠)という感じです。

海外一人自転車旅行でのWarmshower利用は面倒なこと多数ですが、肌感覚で得るものも大きいです。大人の修学旅行って感じです。

これから、ヨーロッパ自転車旅行を計画している方々の一助になれば幸いです。

ヨーロッパ自転車一人旅のコツ:道中編

道中編では旅行中のTipsについて記載します。

自宅から空港までの移動

自宅から空港まで移動するにあたり、自転車を空港まで運ぶ必要があります。

電車移動であれば、荷物の大きさは持ち込み許容範囲内だと思いますので、運搬そのものに問題はありません。リムジンバスで移動する場合は、バス下のトランクエリアに入れることになりますが、横倒しにしないと入らず、側面に損傷を受ける可能性があります。空港に預ける前段階で梱包が損傷していると飛行機への積み込み等で壊れかねません。このような事態を避けるためにも、リムジンを使う場合は宅急便で空港まで送るのがいいです。

また、自転車の箱そのものは20kg超とかなり重く、スーツケースのように運搬を考えたものでもないので、キャリアーを使わない場合は、空港までの移動でもかなりの重労働になります。やはり空港に着く前に箱の損傷の危険もありますので、電車を使う場合でもできるだけ宅急便を使用した方が無難です。

空港での自転車の預け入れ・受け取り

自転車の預け入れについてカウンターに持っていって手続きをすると、職員によって別のカートでハンドキャリーで運ばれて行きます。壊れても保証はしない旨の書類にサインをさせられる他には特別な手続きはなく、機械的な作業で乱暴に扱われることはありませんでした。これは帰国時のシャルル・ド・ゴール空港でも同じでした。

到着時の受け取り方法は空港によって異なります。到着したら受け取り場所を各空港の職員に確認しましょう。今回はヒースロー空港で自転車を受け取りましたが、この写真のようにオーバーサイズ荷物専用エリアにポツンと置かれていました。

羽田空港の場合は荷物受け取りの近くにあるカウンターに行って特別扱いの荷物を受け取ることになります。

なお、運送時には箱に損傷も汚れもありませんでしたので、今回の運搬ではトランクのように乱暴に扱われることはなかったと見ています。取っ手があったためか、横倒しにもされず丁寧に扱われたものと思われます。

現地空港に到着後は宿泊先まで移動することになります。空港から自走する場合は空港で自転車を組み立てますが、このときダンボールを破棄する必要があるので、空港職員に破棄する場所を確認してから組み立てをはじめましょう。

また、組み立て中は荷物が無防備になりますので、空港内で安全な場所かつ迷惑にならず、かつ廃棄場所に近いところで組み立てましょう。そういう意味では宿泊先で組み立て、ダンボールの廃棄をお願いするのが安全です。

1日のスケジュール

私の場合の自転車旅行での1日の流れは以下のとおりになります。

朝はトイレ、天気、ルートの確認、荷物のパッキング後に朝食を取り出発。
昼はライド。宿泊先到着後、洗濯とバッテリーの充電を即行います。
夜は食事と次の日の天気の確認と翌日と翌々日の宿泊地を確認。

時期によりますが、出発時間は8時〜9時くらいが目安です。到着は夜6時くらいを目標にすればいいです。目標時間までに到達できそうにない場合は電車等の公共交通機関でショートカットをすることも考慮にいれ、判断の基準と駅などの交通公共機関を確認します。宿泊先のキャンセルとプランの変更はかなりの労力を使いますので、予定を途中で変更するくらいであれば、朝に決めたルートと宿泊地まで素直にショートカットすることをお勧めします。

観光

途中で観光をする場合は、自転車を盗まれる危険があるので確実に自転車を預けるところがあるかを宿泊予約前に確認すべきです。基本的にはホテルに預かってもらうのが一番良いですが、安宿では自転車を預かってくれない、預かってくれてもセキュリティーが十分でない場合もあるので、観光先でホテルを決める際には要確認です。

昼食

食事に関しては、自転車を安心して停めていられるのであればレストラン等でもよいですが、実際のところ盗難はいつ起こってもおかしくないので、事実上昼ご飯はベーカリーや屋台など自転車が視線に入るところで買って、外で食べることになります。ですので、朝・夕でしっかりご飯を食べ、昼は空腹を満たすことだけに専念するという形で行動するのが安心です。

駅併設のベーカリーにて

トイレ

トイレも食事と同様に自転車から離れる必要のある場面になります。田舎町であればそれほど心配はないですが、それでもそれなりにロックはしておく必要があります。都心にいくと自転車の鍵がかなり強力なことから、盗難には十分な注意が必要と思います。私の場合は駅を利用しましたが、それでも落ち着いて用を足すことができませんでした。朝に必ずトイレにいきましょう。

洗濯

着ているものの洗濯はライド後は大汗をかいているので、ライド終了後即洗濯は必須です。服が乾かない事態を最小限に抑えるため、到着後すぐの洗濯は必須になります。

スマホとバッテリーの充電

スマホバッテリーの充電は、宿泊先到着後即開始必須です。コンセントが外れた、コンセントが通電されてないなど通常では考えられない事態がありますので、バッテリーが充電されていない事態を避けるためにも、即充電開始と寝る前までの充電完了は安眠と安全のために必須です。

夕食

ユースホステルの場合、食事は近くのスーパーで食材を買って料理になります。レストラン等で外食も悪くないですが、自転車の長距離移動では体力をかなり消耗しますので、夜のうちに栄養を考えた量のある食事をとれる自炊の方が良いと思います。調理道具と調味料は一通り揃っていますので、ちょっとした一手間で料理できるようなものを買えば時間もかからず、値段のわりに量も十分でお勧めです。

Warnshowersを利用してホスト宅でご馳走になる場合は遠慮なく量を頼んでいいと思います。食事の種類については旅行を楽しむという意味では、現地で普通に食べているものをお願いすればいいです。個人的な経験ではヨーロッパの食事は日本人は問題ないと思います。日本人から見る食事の感想を添えると相手側にもいろいろメリットがあっていいと思います。

プランニング

自転車の旅は天気やその日の体調などでリアルタイムに日程が変化するため、旅行中にプランを臨機応変に変更していく必要がありますので、到着後から就寝までの間に明日・明後日のプランを立てなくてはいけません。明日のみでないのは、宿泊可能場所が少ない場合に走行距離に隔たりが出るのを抑えるためです。

天気とルートの確認は、現地の人が使っているサイトを教えてもらうのがよいです。AccuweatherやGoogleでも確認はできますが、正確性に関してやや不安を覚えますので、現地の人に聞くのが間違いないです。

走行ルートについても同様で、プランしたルートがどのような感じか、代替ルートはないかの確認はできるだけ確認すべきです。特に工事による通行止めや悪路情報はネットでもわからないため、ルートや現地の情報を知っている人に聞いて確認することは安全のためにも必須です。

Warmshowersの連絡については明後日の宿泊予定地でホストをしてくれる人に連絡をとります。明日の宿泊地ですと、走行中に連絡を取り合う必要があるほか、ホストがその日にメールを見られず、チェックイン後に連絡がくるということにもなるため、初回連絡は明後日到着予定地のホストに対して連絡をとるのがベストです。

自転車の点検

自転車の点検もしましょう。到着後はやらなければならないことが多く、ついつい点検を怠ってしまいますが、連続で自転車を酷使しているので、到着直後に10分程度の点検はやっておいた方がいいです。走行中は聞きなれない異音がするだけで注意力がそがれる上に、先に進まなければならない焦りから移動中に落ち着いてチェックすることもできません。朝不調に気づくとプランの遅れに繋がりますので、到着直後の点検は必須です。

準備を終えたら

旅の楽しみは人との会話にあると思いますので、各種準備が終わったら会話を楽しみましょう。旅のいい思い出になります。

お酒はほどほどに

帰国準備

帰国1日前になったら、現地の人に空港までの所要時間とオススメの交通手段を確認しましょう。通常の海外旅行と違い、重い自転車を抱えているため、電車移動だと乗れない可能性もあります。また、タクシーやバスでも事故による渋滞もなきにしもあらずです。パッキングされた自転車を抱えての移動は非常に難儀ですので、デフォルトはタクシー移動とし、それが厳しい場合は電車などの代替手段という優先順位です。箱の損傷を防ぐため、リムジンバスはできるだけ避けた方がよいでしょう。

パッキングのコツや空港での預け入れや受け取りは出国前といっしょです。

以上が、今回の旅で得た初めてのヨーロッパ自転車旅行のための準備から帰国までのコツになります。本記事が読者の方への一助となれば幸いです。

ヨーロッパ自転車一人旅のコツ:旅の準備編

自転車旅行のルートと航空券の購入が決まったら、次は準備です。

通常の旅行と違い、荷物はすべて自転車積載で重量が疲労に直結する為、不要な荷物は徹底的に削る必要があり、自転車に関するトラブル対応も基本的に自分で行うしかないため、安心を得るためにもそれなりの準備が必要です。

私の経験から、早めに準備・確認した方がよいものから順に以下の通りになります。

  • 語学と事前知識
  • 自転車とパッキング
  • スマートフォン
  • スマホアプリ
  • モバイルバッテリー
  • 服装
  • SIM
  • お土産
  • 現地交通事情
  • 便利小物

手をつけるタイミングについて、語学は早ければ早いほどよく、自転車のパッキングは概ね1ヶ月前には確認作業を開始した方が良いと思います。残りは1週間前でもなんとか揃えられますが、1ヶ月前には手をつけた方が無難です。

語学

最近はスマホによる翻訳も簡単な文であればそれなりの精度で訳されるようになってきたため、現地の言葉を全く話せなくても最低限の意思疎通そのものはできるようになりました。ですので、緊急時に言葉が通じず途方に暮れる事態は避けられます。しかし、それでも買い物やトラブル対処には直接の会話が必須です。

WarmShowersを利用するなら現地語か英語での会話は必須になります。とりあえず英語を押さえておけば、大概近くに話せる方はいると思いますので、英語で対応ができるようにはしておくべきです。

なお、会話そのものだけでなく、相手に不快感を与えないように稚拙でも良いので失礼のない丁寧な言葉遣いを心がけるように学習をすすめ、コミュニケーションをスムースにするため日本のことについて話せるように意識して学ぶようにして相手の興味にきちんと答えられるようにするとよいです。

訪問国についての事前知識(人気スポーツ、政治、その国へのイメージ)を事前に収集しておくとコミュニケーションしやすいです。現地の言葉も、挨拶と自分の名前くらいは話せるようにしておくと心証が格段に良くなりますのでおすすめです。

自転車とパッキング

自転車旅行は自転車への慣れとロングライドに適した自転車・乗り方の調整が必要ですので、計画が浮上したらできるだけ現地でのライドを想定して様々な環境で走り込みます。走り込みの目的は体力向上というよりも、むしろいろいろなトラブルを早めに体験し・対処方法を確認することであり、ライド中に起こりうるイージートラブル(バンク・ワイヤー切れ・悪路走行など)を想定して、必要な対処方法もイメージ・体験します。こうすることで現地でのライド中の緊張感が緩和でき、より安全に対応して走行することができます。

自転車の種類は最低限サスペンションがついたもの、できればディスクブレーキのランドナータイプが良いです。幹線道路を走る予定であっても工事中の悪路など予期せぬ悪路の走行を余儀なくされることもあります。朝露等による泥や雨にまみれることもあるため、安全を考えるならば、上述のようなツーリングを目的とした自転車が一番です。

荷物の積載にはキャリアが必須になります。リュックを背負ってのロングライドは体に思いの外負担がかかり疲労が蓄積する他、背中の汗が乾かないなど衛生面でも問題になります。荷物は脱着が容易で雨にも強いオルトリーブのパニアバッグがオススメです。私はこれの他に、同様の脱着機構を持ったArkelのリュックを購入しました。Arkelのリュックはヘルメットも保持できるため、日本・海外を問わず自転車を畳んで移動するときに重宝しました。

トラブル時には最悪の場合現地の人の助けを借りることになり、その際には自転車を車で運ぶことが想定されます。車には自転車キャリアがあるわけではないので、実際に自転車を分解し、どのようにしたら車に載せられるかを確認しておきます。

自転車の鍵も重要になります。日本では鍵さえかけておけばそれほど盗まれる危険は感じませんが、海外ではホイールのみ盗まれることもままありますので、外れるものは全てロックするか持ち歩くことになります。

ロンドンにて。ホイールのみを残して盗難されたと思われます

鍵はいかにもロックしているような日本ではあまり使われないような自己主張の強いものがよく、この場合ロックの重さも重くなり決してバカにはできません。鍵は普段使いのもの+長い切り難いワイヤーがあれば安心かと思います。

一部高速電車では自転車をそのまま載せられない場合もありますので、輪行可能な自転車であればパックして乗せることも想定し、その際に全ての荷物を運ぶためにどうしたら良いかを事前に考えて荷造り方法を準備しておきます。

また、自転車を飛行機で運ぶ際のパッキングのコツについても確認する必要があります。すでに経験者がいるのであれば、その人に聞きその人と同じ方法をとるのが一番早いです。もしいなければ、先に運搬用の箱を入手し、実際にパッキングをしてどれだけの重さになるか、どのように運ぶかも合わせて確認します。箱によっては重さによって底が抜けたり、箱が破れたりする懸念がありますので箱の強度も確認します。自転車用の箱であれば問題はないと思います。

また、箱を運びやすくするための取っ手の位置も考慮する必要があります。取っ手の位置がよければ、飛行機のトランジットの際の現地職員の積み替えも楽に行うことができ、箱への損傷も最小限で済むことや縦位置で置くことも自然とガイドがかかるので、安心して自転車を預けることにもつながります。

パッキング時の自転車

なお、パッキングの際には横倒しにされても問題がないように、ビニールに詰めた洋服などで自転車を固定すべきです。飛行機への積載時は空港職員に積み方を委ねることになります。箱の中身が自転車であること、横倒しはしないようにすることを最大限アピールするように箱には書いておけは、日本での積み込みは大丈夫だと思います。ですがトランジットがある場合は載せ替え時にどのように積まれるかは、国によって扱い方がかわるため、実際のところどうなるかはわかりません。上面をフラットにして、上に少々のものを置いても大丈夫なようにしておけば、横倒しにされることはないと思いますが、事故なく確実に持っていくためにもこれくらいの配慮はしておいた方が良いです。

タイヤの空気は軽く抜いておきましょう。気圧低下によるタイヤの破裂がないとは言い切れないことと、航空会社からタイヤの空気抜きについて確認されますので、万が一破裂が原因の事故があるといろいろ面倒そうです。いずれにせよ、到着時に空気は入れるので、抜いておくのが無難です。

パッキングの前には必ず自転車の点検をしましょう。トラブルは現地で起こるとスケジュール等のリカバーが大変です。点検で解決できるイージートラブルは出発前に必ず完了させましょう。パッキング時にはハサミ・カッター・テープが必須ですので、帰りのパッキングのためのテープとテープを切るためのカッターを一緒に梱包しておくと帰国時のパッキングが楽です。

空気入れについてはCO2ボンベよりはハンディポンプを持っていくことを推奨します。CO2ボンベは使ってしまうと現地補充を考えねばなりませんが、自転車屋はそう多くなく、CO2ボンベそのものを売っている保証もないです。パンクはいつ何時起きてもおかしくないので、旅をスムースに進めるためにもハンディポンプの持参は必須です。

服装

持って行く服は自転車用の服装2日分と飛行機移動・町歩き用の1日分で十分です。これ以上は荷物になるのでおすすめしません。

自転車移動時の服は宿泊地到着すぐに洗うことになり、乾かなくてもそのまま着て走行中に乾かすということを繰り返すことになるので事実上1日分いけますので、もう一着は雨中・防寒等の特殊条件用のものにすると良いです。

移動・町歩き用はGパン等でもいいですが、自転車にも乗れるようなストレッチ性のあるパンツを持って行くとライド中の服装にも応用が利きます。

なお、同じ場所に滞在する機会が少ない場合は、速乾性のものは必須です。自転車移動では汗の他に泥などで汚れることもあるので、汚れの目立たないものがいいです。いろいろ調べて試したところMountbellのものが無難ですね。

サイクリングウェアのバックポケットは、ライド中だけでなく普通の旅行中でもスマホのバッテリーなどを入れておくなど便利に使えますので、普段着にもできるサイクリングウェアは海外旅行におすすめです。

シューズはミドルカットかローカットの靴底の堅いトレッキングシューズ一択です。町歩きにも合うデザイン、長時間ペダリングにも耐えられる靴底、かつ自転車で通るような悪路踏破も可能なものとなると、調べた限りではトレッキングシューズのみが候補にあがります。

寝間着については、そのままの格好で外に出てもそれ程それほどおかしくない格好で準備しておくといろいろ便利です。下はジョガーパンツ、上はTシャツで買い物などで軽く外出する時は何かを羽織って出るというのが、荷物も少なくなるのでおすすめです。

スマートフォン

旅行中のスマホは、カメラ、ナビ、現地情報、天気、宿泊先の予約と確認、緊急時の連絡、写真撮影等に使用するため、安全な走行と旅をスムースに進めるためにはもはや必須です。ですので、一人での旅行の場合は故障を想定して2台持って行くほうが精神衛生上良いです。

そして一台はナビ専用、もう一台は普段メインで使っている写真や調べ物専用にし、故障時には現地で予備機を買うか、もう一台で凌ぐ形で対応すれば無駄もなく、かつ旅をスムースに進められます。スマホ一台でも対応はできますが、写真を撮ったり調べ物をするたびにスマホを外して画面を切り替える操作が必要になり結構面倒である他、脱着時に落としたりする危険もあるため、ナビ用とメインスマホは分かれていたほうが断然いいです。

なお、ナビ用のスマホは現役引退した古いスマホで十分ですが、SIMロックフリーにしておく必要があります。もしメインスマホが壊れた場合はこのスマホにSIMを挿して対応することになりますが、SIMフリーでないと通信ができず、予備機としての意味を為しません。さらに雨中ライドも考慮して防水型のものかアクアパックなどで防水対応にする必要もあります。小型防水スマホの「Atom」は自転車ナビにはぴったりです。

ナビ用のスマホは基本的に通信は不要なのと、電池の消耗を抑えること、SIMの購入枚数を減らすという点で、必要に応じてテザリングで対応で良いです。Bluetooth接続によるテザリングであれば、電池の消耗も少なくてよいです。

メインスマホはDual SIM対応が望ましいです。一つは日本で使用しているSIM、もう一つは現地SIMという形でセットしておけば、いざという時に日本の電話番号で通話も可能な他、SIMを無くす危険も無くなります。

スマホには自分のことを紹介するための写真を100〜200枚程度用意して、スマートフォンに入れておくかWebアクセス可能な場所にアップしておき、いつでも写真を見せられるようにしておくと、人と話す際に話を弾ませることができるのでおすすめです。

スマホアプリ

自転車旅行で必須のアプリは以下になります

  • OmsAnd
  • Citymapper
  • Booking.com
  • GoogleMap
  • WhatsUp(またはその国でメジャーなメッセージアプリ)
  • 050plus

OmsAndはオフラインで自転車専用道路に沿ったルート探索ができるアプリです。外国では人のいない街と街の間の道路はおろか、たとえ街中でも通信ができない場所は多く、GoogleMapにナビを頼るのは心もとないです。OmsAmdはマップをスマホにダウンロードできるので、通信ができない環境でもルート探索ができ、サイクリングには必須と言っていいアプリです。あらかじめ計画したルートをGPXで登録しておけば、常にGPXルートが表示され、探索時にはこのルートに乗るように探索もしてくれます。

Citymapperは各国の都市の公共交通機関までの距離や、乗り換え方法、時刻、現在の状況などを一発で調べて表示してくれるため、大都市での移動では大変重宝します。

Booking.comはホテルの探索と予約に使用します。Hotel.com等でも良いですが、大切なことは一つに絞ることです。旅行中は洗濯、食事、次の日の計画などでそれほど余裕はないので、予約や場所の確認と価格比較に時間を取られないようにするため、複数の予約サイトはできるだけ使用しないほうがいいです。

GoogleMapは、ルートの確認や現在位置の表示、ストリートビューで現地の様子を確認、店の検索などOmsAmdの補完的役割レベルで使用すればよいです。自転車専用道路の選択と確認も可能なほか、地名が日本語で出てくるので発音ができるようになり、地名を覚えやすいという利点があります。

外国ではWhatsUpが多く使われており、Warmshowersなど現地の人たちと連絡を取る際に重宝します。SMS等でも連絡はできますが、やはり写真や位置情報を簡単に共有できるという点ではメッセージアプリにはかないませんので、インストールと登録は必須です。また、帰国後の連絡手段としても利用できるので、Warmshowersなど、現地で築いた関係を維持するためにもインストールはしておくべきです。

050plusは日本との連絡をとるためのものになります。個人間の連絡はLINE等のメッセンジャーアプリで大丈夫ですが、保険会社や実家などメッセンジャーでつながっていない場合などは、どうしても電話での連絡になります。携帯電話をローミングで使用すると通話料がかなり高額になるため、050Plusなどの電話を準備し国内通話料で電話が可能なようにておくと一人での海外旅行で安心できます。なお、050Plusは1ヶ月の無料試用期間があるため、通話をせずに解約した場合の利用料は無料になります。

通信用SIM

二週間程度の短期間ですと、現地でSIMを買うよりは日本で用意したほうが時間の有効活用という点でよいです。2018年9月時点でのおすすめは「SIM2Fly」と「Vodafone red roaming」ですね(ググってください)。通信容量は二週間程度なら4GBあれば十分です。写真のバックアップなど大容量通信が必要な場合はホテルなり街中のWiFiを利用します。

なお、WarmShowersを利用する場合、メッセージアプリを利用していない人もちらほらいます。この場合、SMSや電話で連絡をとることになりますが、国外のSIMですと国際通話料扱いになり通信料が馬鹿になりません。ヨーロッパやその国での滞在が長い場合は、通話専用の現地SIMをその都度購入したほうがいいかもしれません。大概はスーパーマーケットや電気屋に行けば売っていますが、各国で購入時の事情が違いますのでSIMの種類を事前に調査しておいたほうがいいです。

空港でWiFiルーターをレンタルする手もありますが、荷物とメンテナンスの手間を減らすためにも、自転車旅行では海外SIMは絶対利用すべきです。

モバイルバッテリー

ライド中はスマホをナビ代わりにしますが、スマホの電池だけではまず1日持たないため予備バッテリーは必須です。スマホによりますが、経験上スマホとモバイルバッテリーの合計が8000mAあれば大丈夫かと思います。10000mAあればほぼ安心レベルです。

また、モバイルバッテリーとは別に乾電池式のバッテリーも持って行くべきです。スマホ2台持ちであれば必須とまではいいませんが、持って行けば精神衛生上安心です。というのも、何かのトラブルでスマホのバッテリーが充電されなかった場合、以降スマホが一切使えずナビが使えないばかりか宿の予約や連絡すら取れず、路頭に迷う危険すらあります。コンセントを借りて充電という対応もできますが、充電が満足に終わるまでの間ひたすら待たねばなりません。この場合、バッテリーの回復手段は唯一乾電池を買う以外にありません。このためにも非常用として乾電池式のモバイルバッテリーは持っていったほうがいいです。乾電池式の場合、単3電池4本でiPhone半分程度を1時間半で充電できますので、16本程度買えば乗り切れます。

充電用USBケーブルの予備も持って行くことを忘れないようにしてください。充電ケーブルを無くすとモバイルバッテリーもスマートフォンもただの金属の重りと化します。ケーブルは現地で買うと高額で、入の手間もかかりますので、日本で100均やAmazonで安いものを買っておき、旅行中はこれを利用するようにすればよいです。

お土産

自転車旅行では荷物を最小限にする必要があるため、質量が大きなお土産を現地の人達に持っていくことは基本的に無理です。ただ、栄養補給食「えいようかん」は日本のスイーツを試してもらえるという点でお土産としてなかなかいいです。持っていってもかさばることはなく、アレルギー系の含有物もなく、必要であればライド中に栄養補給も可能と自転車旅行には最適です。小指大に切ってお茶(なければストレートティー)と一緒に食べるのを伝えることを忘れずに。

現地交通事情

日本とは違い、海外では鉄道やバスのストライキがあります。今回の旅でフランスに行った際には国鉄でストがあり、電車が一部運行停止になったりしていました。基本的には移動は自転車であるため、公共交通の利用はありませんが、不測の事態に陥った場合は公共交通機関を利用することになります。

不測の事態が発生しているときに移動もできないのは精神的にかなり焦りますので、事前にある程度の交通事情は把握しておきましょう。なお、帰国時に空港へ移動する際に通勤時間帯などの混雑時間に引っかかると想定より遅れることもありますので、帰国時の状況もあらかじめイメージして確認しておきましょう。

パリ地下鉄の通勤時間帯の様子

便利小物

以下は無くても致命的ではありませんが、日本で事前に準備したほうがいいものになります。

  • ウェス
    走行中は自転車に限らず汚れを拭く機会があります。特に自転車のリムに汚れがついてブレーキの効きが悪くなった時などは即拭いた方がいいです。このような場合に備え、ウェスは4~5枚持っていくといいです。走行中、チェーンはずれの直しなどでついた油汚れを拭く際にも役にたちます。
  • パスポートベルト
    移動中は荷物の出し入れが多く、細かいものは無くすこともあります。しかし、パスポートと現金・カードは無くすと帰国すらできなくなるため、きちんと管理する必要があります。パスポートベルトですと常に体に密着しているため、いつでも確認が可能で移動中に忘れることもないため、安心感が格段に違います。
  • スリッパ
    海外では屋内でも靴を履くイメージがありますが、実際は外の不潔なものを室内に持ってこないように室内履きに履き替えている家がほとんどです。ですので、スリッパは持って行ったほうが何かと都合がいいです。おすすめはmoviti “OTTO”(Google検索)ですね。理由は「持ち運び時はまっ平らになるためかさばらない」「はく方向が前後どちらからでもいい」からです。
  • ナイフとフォーク
    カップラーメンや食材などはスーパーで買うことができますが、日本のように箸やフォークがついてくることはありません。ユースホステルではナイフ、スプーン、フォークがあるので問題ありませんが、道中やホテルではナイフとフォークはないので、持って行くと安心です。
  • 耳栓
    ユースホステルに泊まる場合、大概は見知らぬ人と同室になります。この場合問題になるのが、寝てる間のいびきです。旅の安全に安眠は必須ですので、耳栓は必須です。
  • 現金
    カード払いでほとんど済むとはいっても、現金は最強の決済手段ですので、現地通貨で幾らかは持っておくべきです。日本円も細かく両替ができるように1000円札を10〜20枚程度持って行くと帰国時の現金調整時に無駄が無くていいです
  • 延長コード
    それなりのホテルではいい場所にコンセントがあることが多いですが、それでもコンセントとベッドが離れていることは結構あります。自転車旅行では事前に予定が立たないことから、就寝時も含めてスマホをいろいろ確認することが多いです。ベッド上で充電できないとなるとコンセントから抜いて確認することもありますが、その後再充電を忘れて寝落ちということもあり得ます。自転車旅行ではスマホの充電忘れは致命的にもなりかねないので、安心のためにもベッド上で寝ながら充電できるように延長コードは持って行ったほうが安心です。
    また、コンセントの保持力が弱く、知らない間に抜けていることもあったりするので、これを防止するためにも延長コードはあると重宝します。
  • ビニール紐
    旅行中、洗濯物を干すときと、荷物や物を固定するときにビニール紐があると便利な場面が多いです。5m程度であればそれほどかさばるものでもないので、持って行くことをオススメします。なお、洗濯物を干すための紐の固定の仕方とハンガーの固定の仕方、紐の結わえ方は覚えておく必要があります。
  • 鍵(ロッカー、カバン用)
    移動中にカバンが開く(or開けられる)のを防ぐためと、ユースホステルなどのロッカー用です。1m程度の細いワイヤーがあると、これ以外にも自転車を軽くロックしたりできていろいろ応用が効きます。
出発直前の荷物一式

その他は通常の海外旅行で持って行くものを最小限に抑えて準備すれば良いと思います。次は道中編になります。

ヨーロッパ自転車一人旅のコツ:プランニング編

2018年6月にイギリス・フランス・オランダを一人自転車で旅行してきました。

自転車旅行で計画したルート

初めて一人自転車旅行を計画するにあたり、ネットで情報収集を試みましたが、海外自転車旅行に関する情報はそもそも情報が少ない上、スマホ全盛ではない頃のものしかなく、かつ「行ってきました」系の情報はあるものの「準備はどうしたらいいか」系の情報は皆無でしたので、事前準備は手探りでした。

この経験を私だけに留めておくのは、ちょっともったいないのでブログ公開します。文章量が多いので「プランニング編」「準備編」「道中編」の三部に分けて記載します。

なお、本情報は2週間程度のヨーロッパ自転車旅行を想定したものになります。1ヶ月以上の長旅の場合は時間的な余裕があり、大きく予定を変えられるだけの柔軟な対応も可能なこと、他地域では前提条件が異なります。ただし、参考にできるところは多いと思います。

プランニング順序の指針

たとえ海外旅行に慣れていても、初めて海外自転車旅行のプランニングをしようとするとどこから手をつけてよいかわからなくなります。プランニングの指針がない場合、以下の項目を順番に決めると決めやすいです。

  1. 行きたい場所とおおざっぱなルート
  2. 飛行機でのIN/OUTの都市
  3. 行く時期
  4. 航空会社・鉄道
  5. 宿泊先

1.行きたい場所と大雑把なルート

まずは走破したい国とその国の地域を決めます。その地域から主要ルートを探し、

  • 治安や道路事情などの安全性
  • 街の出現頻度
  • ルートの高低差
  • 天気の傾向
  • Warmshowersを利用するならばHostの多くいる地域

をピックアップし候補とします。ルートと走行距離のたたき台にはGoogleMapを使用し、移動手段に「自転車」を選ぶことで確認できます。道路の様子はGoogleストリートビューでイメージを掴みます。街中は道路に何かあってもある程度迂回路がありますが、街と街を結ぶ道路はダートな場合もありますので、特に山間・林間の道路の様子を確認しておくと良いです。最終的には実際にナビとして使うOmsAmdというスマホアプリで示されるルートを確認するのが良いです。

ルートを概ね確認したら、走行不能時にリカバリが可能かどうかについて確認します。確認のポイントは、

  • 移動中通過する街にホテルやユースホステルなどの宿泊施設
  • 自転車のメンテと部品の購入が可能な店の有無
  • スーパーなどの食料品店

ルート上に鉄道やバス路線など公共交通機関があればなおよしですね。リカバリ方法がなさそうな場所はヒッチハイクで乗り切ることで腹をくくります。

連日ライドの場合の1日の移動距離は、体力の温存やトラブル時の対処の時間的マージンを考えると最長でも100kmくらい、概ね80kmが妥当です。宿泊ポイントはこれをベースに決めれば良いです。

海外自転車旅行では自転車や荷物の盗難を避けるため、食事やトイレなどのちょっとした行動にも自転車のロック等に時間を割かれます。また、自転車旅行では道中に必要な最小でも10Kg程度の荷物を抱えているため、ちょっとした坂道もかなりのパワーを使います。場合によっては、体力の過度な消耗を防ぐために歩いた方がいいこともあります。工事などによるルート回避などその場にいないとわからない道路事情も多いです。このような不測の事態も考慮し、走行距離は欲張らないことが重要です。

想定外の遅れが積み重なると到着時間が徐々に遅くなり、焦りがつのってきます。焦りは安全運転には禁物ですので、日本感覚でのロングライドは厳禁です。

2.飛行機でのIN/OUTの都市

決めたルートに向かうための飛行機のIN/OUTの都市を決めます。特に強い理由が無い限りは同一の都市かつ自転車梱包資材を預けられるところを選ぶべきです。というのも、海外は日本と違って自転車を分解せずにそのまま鉄道で移動できるところがありますので、移動中の荷物が多くても出発地に戻るための制限は少ないです。例えばパリからロンドンまでの工程であれば、ロンドン到着後にユーロスターでパリに戻れば2時間です。梱包材の調達の手間を考えると圧倒的にこちらの方が楽です。

また、飛行機で自転車を運ぶときに、どうしても問題になるのが自転車の梱包と梱包時の運搬になります。実際に海外で一から梱包をやるとなると、段ボールの入手・製作・補強・資材購入・緩衝材作製等、相当な時間・手間とテクニックを要し丸一日は見ておかないと怖いです。それでいて梱包が確実に終わることや強度が十分である確実性も無いので、自転車を無事に持ち帰れるかも終わってみるまでまで分かりません。

また、日本・海外ともに空港から移動時には丈夫なキャリアもあった方がよいです。キャリアは段ボールのように軽く廃棄・入手するような物ではありませんので、サイクリング中はどこかに保管しておかねばなりません。期間が2週間程度なら時間的コストを考えて梱包資材は多少ルートから遠くても預けておいたほうが旅行中の精神衛生の面でよいです。

3.時期

行く時期は季節・気温・休みを取れる時期と期間等々で決めます。

自転車に適した時期は最低気温が15度位、最高気温が最大で30度くらいが良いと思います。暑過ぎは熱中症・脱水症状の危険があり、寒すぎは荷物の増加につながる他、トラブル時は運動していないため寒さに耐えられず、事態悪化ループに陥る可能性があるためです。

当然ながら雨の降りやすい時期は事故の危険が大きいので避けるべきですね。サイクリング中には雨に振られなかったとしても雨の降ったあとに未舗装道路に入ったりすると、ブレーキが効かなくなったりして危険で、掃除等に時間を取られ計画した工程がうまく踏破できなくなる可能性があります。

4.航空会社・鉄道

自転車の運搬に関して、預託手荷物条件が航空会社によって様々です。追加料金を必要とするところ、そもそも預け入れ不可、重量制限超過による追加など、運搬に関する条件が航空会社によって様々です。

ロードバイクなど、長距離移動を目的とした自転車はそもそも重量がないため、梱包後の重量は、梱包資材や洋服など移動中に必要なものを含めても、概ね航空会社の通常最大許容重量である23kg以内に収まると思います。中東系のカタール航空・エディハド航空は最大重量が30kgなので、帰りにお土産を買って箱の中に積んでいけるだけの余裕があります。

なお、自転車の扱いは重量とは別になっている航空会社もありました。例えばエールフランスは1万円の預託料を別に支払う必要があったりします。この条件は年単位で見ると改訂が結構あるようなので、こちらも確認しておく必要があります。私の場合はカタール航空を使いました。自転車の扱いについてはHPにも書いてありましたので特に心配はありませんでしたが、念のためカタール航空に直接電話をして確認もしました。

航空券は通常は3ヶ月前までに格安航空券サイトで買えばよいです。2ヶ月を切ると値上がりします。なお、格安航空券比較サイトで値段を調べる場合、サイト上に表示された値段が購入の際の値段となっているとは限りません。実際に予約手続きをするとさらに安くなっていることも多々あります。料金の確認は購入サイトで直接値段を確認することが肝要です。

なお、航空会社ではキャンペーンを張っていることもあり、たとえ出発1ヶ月前でも安く買えることもあります。調査した限りでは格安航空券サイトの値段とそれほど違いはないようですので、そちらを確認するのも安く購入する一つのてです。

現地での空港・宿泊先間の移動は通常の旅行とは違って荷物が大きくて重く、小回りも利かないため、タクシーやホテル手配等の直通の交通手段をお勧めします。日本国内での移動は宅配便を使えば手ぶらでいけます。

鉄道は海外の場合は早めに予約することで割引があることが多いので、移動計画が決まったら早めに予約を入れます。

5.宿泊先

最低限到着日と出発日の宿泊先は必ず確保しておきます。梱包用資材を預けられるところ、もしくはその近辺がベストです。入国と出国の都市が一緒の場合は少々高くても同一の梱包資材を預けられるところがよいです。高い分は確実に自転車を持って帰れる保険と考えれば安いものです。

自転車旅行の移動中の日程は、早くても2日前にならないと宿泊先を決められませんので、事前予約は基本的に無理です。ですので、準備の時点ではどの街で宿泊するかのみを決めます。

宿泊地はルート区間の道路の起伏具合から移動可能距離を概算し、道中にホテル・ユースホステルなどの宿泊先があるかを確認します。ルート上に20~30km毎に宿泊可能な場所や、鉄道駅があるなら問題はありません。季節によりますが、出発は朝9時、到着は5時を目安にして、観光で立ち寄るところや休憩・道路状況を確認し、移動距離を概算すれば到達可能な街は目安がつきます。

宿泊先の選定は、予算にもよりますが、自炊が可能という点でユースホステルが一番おすすめです。自転車に乗ると非常にお腹が空きます。外で食べるのも良いですが、自転車旅行の場合は観光一辺倒でないことと、費用と栄養面を考えるとスーパーで食材を買い、自炊をするのが一番満足感が高いです。宿泊先の有無についてはBooking.com等のホテル予約サイトで調べれば、宿泊費などを含めて概算できます。

私は上述のようにプランしましたが、最終的にはたまたまWebで見つけたCICERONEのサイクリングガイドブック「Cycling :London to Paris」を購入し、安全を考えてそれに従うことにしました。結果としてはほぼこれに沿うルートで、不安も問題もなく6日で走破できました。自転車一人旅は一度経験するとコツが掴めるので、このようなガイドブックは不要になりますが、初めてのプランニングする場合、不安を払拭するには良い書籍だと思います。

プランニングについては以上になります。次は準備編です。